活用事例
愛媛県立伊予高等学校の子川先生による化学の授業の実践事例をご紹介させて頂きます。授業の主題は「化学反応の速さ」で、化学反応の速さを濃度や温度、触媒を変えることによってどのように変化するかを実験し、その関係を理解する、という内容の授業でした。
生徒は班に分かれ、濃度の異なるKIO₃溶液をビーカーに4個準備し、それぞれにNaHSO₃(デンプン)溶液を注入し、2つの液体が触れた瞬間から青紫色に変化するまでの時間を計るところから始まりました。ここで活用されたのがiPadです。反応前から動画で撮影し、色が変わるところまでを記録し、時間と温度を計っていきます。従来は、ストップウォッチで計っており、測定を失敗するとやり直してでしたが、スロー再生と撮影時間表示ができるiPadアプリで反応前から色が変わるところまで撮影することで、何度も見直し、正確な反応時間の確認ができていました。
他の班の解答を画像に撮って班に持 ち帰ります
班で話し合いながらグラフを作成し ます
また、班員全員がiPadを持っているので、先生の指示により、実験する人、記録する人、次のビーカーの準備をする生徒に役割分担して進められました。結果考察として、各班で実験結果を整理し黒板に反応時間を書いていきます。他の班の結果をプリントに記録するため、黒板を撮影する際にiPadを活用する生徒もいました。
次に、濃度と反応時間の逆数との関係をグラフに表しますが、ここでもiPadの計算アプリを活用し、早く正確に細かい小数点の答えを導きだしていきます。最後に先生から班の代表生徒のiPadにグラフが配布されます。「縦軸、横軸のスケールについても皆で話し合ってグラフを作っていってください」という指示に、班で協力し合いながら点を取っていきます。
回収したグラフを拡大し、先生が解説します
最後に先生の画面にそれぞれの班の解答が回収されます。1班ずつ画面を拡大していき、「原点を繋げていけば直線に乗りそうですね」、「ここの班も直線になっていますね」、「横軸は0.01、0.02と刻んだのですね」と先生が解説をしていきました。今回の実験により、濃度と反応速度は比例すること、それから濃度・温度が反応速度に影響を与える要因となることがクラス全体で理解できたようです。班で話し合って作ったグラフを最後に提出し、先生にその場で評価をしてもらうことで、生徒たちも正しく理解できていたことをしっかり確認できていた様子でした。一つの実験の授業の中で、iPadが色々な役割をしていたことも印象的でした。
伊予高等学校は27年度より愛媛県のICT教育実践校に指定され、常設型、可搬型の電子黒板と無線アクセスポイントやiPad・iPad保管カートが導入されています。理科の授業を中心に、タブレットや電子黒板を取り入れた授業を日々研究開発しています。